カデマ党の党首に、リブニ女史が選ばれた後、リブニ女史は連立政権工作に動いたが、結果的には失敗した。残る手段は、早期にクネセト選挙を行って、多数派になり、左派政党との連立を組むことだ。
他方、ウルトラ右派の代表者であるネタニヤフ首相は、この選挙を受けて立つ覚悟ができているようだ。選挙の結果どうなるかはわからないが、少なくとも、今後のイスラエルの国内外政治は、極めて頑迷かつ、強固なものになっていくのではないかと思われる。
イスラエルのハアレツ紙の世論調査によれば、リブニ女史が率いるカデマ党とネタニヤフ氏が率いるリクード党は、次回選挙で同じ、31議席を獲得するだろう、という結果が出たようだ。
しかし、エルサレム・ポストの世論調査では、リクード党を中心とした右派の連立には、64人の議員が結束するが、カデマ党を中心とした左派の連立には、56人の議員しか結束できないだろうというものだ。
リクード党と連立を組むことが予想されている政党は、イスラエル・ベイトヌ党(ロシア移民の政党)、国民連合国移民宗教連合党、ユダヤ・トーラ連合党といったところだ。
他方、リブニ女史が率いるカデマ党と、連立を組むことが期待されている政党は、メレツ党、アラブ各党などだ。
もし、リブニ女史が右派の一部も抱き込んで、連合政府を構成するとすれば、エルサレムの分割という、パレスチナ側が絶対に譲れない問題で、イスラエル政府は妥協できず、和平交渉は決裂しよう。
同様に、西岸の入植地についても、ネタニヤフ氏には返還意思が全くないばかりか、逆に入植地を拡大することを主張している。
発足前の段階で、リブニ女史の政府が成立した場合に、イスラエル・パレスチナ問題はどうなるのかについて予測すると、どうやら、奇跡的なことでも起こらない限り、数年「和平という名の蜃気楼」がイスラエルとパレスチナを覆いそうだ。