イスラエルの国会議員である、イスラエル・ベイトヌ党のリーダーのアビドール・リーバーマン議員が、エジプトのムバーラク大統領に対して「ムバーラクは地獄へ堕ちろ」と語ったことが大問題になっている。
この不穏当な発言は、イスラエルの議会クネセトでアビドール・リーバーマン議員が口にした言葉だ。彼がこのような言葉を口にしたのは、以下のような事情による。
つまり、イスラエルとエジプトは1979年に和平を結んだが、未だにエジプトのムバーラク大統領は、イスラエルを訪問していないのだ。他方、イスラエルの首相や大統領は、頻繁にエジプトを訪問しており、それはあたかも巡礼のようだというのだ。
アビドール・リーバーマン議員は「もし、ムバーラクが我々と話し合いたいのであればここに来るべきだ。もし、彼がここに来たくないのなら、彼は地獄に堕ちればいい」と言ったのだ。
この発言後、イスラエルのペレス大統領やオルメルト首相は大慌てし、ムバーラク大統領にお詫びの電話を入れた。ペレス大統領はムバーラク大統領にお詫びする同時に「エジプトもムバーラク大統領も心から尊敬しており、同国が地域の平和構築の上で重要だ」と語っている。
確かにアビドール・リーバーマン議員が語るように、ムバーラク大統領はイスラエルを訪問せず、イスラエルとの交渉にはエジプトのカイロか、シナイ半島にあるリゾート地、シャルム・エルシェイクで行っている。
それが受け取りようによっては、イスラエルがエジプトに参勤交代に出かけるように、思えるのかもしれない。
シャロン元首相は、イスラエルのスパイでエジプトの刑務所に入っていた、アッザーム・アッザーム氏の釈放が行われない限り、エジプトを訪問しないと語り、その通りに実行し、シャロン元首相がエジプトを訪問したのは、アッザーム・アッザーム氏が釈放された2005年のことであった。
今回の「ムバーラクは地獄に堕ちろ」発言が、一議員の礼わきまえない暴言で済めばいいのだがだが、世界的な経済悪化の中で、この一言がエジプト社会の中に、反イスラエル感情を高めることが懸念される。そうあってほしくないものだ。