パレスチナのガザ市で、パレスチナ解放機構(PLO)のメンバーPFLP.DFLPと、PLO(パレスチナ解放機構)メンバーではないハマース、ジハードが10月27-28日に合同会議を開いた。
この会議は、来月9日にカイロで開催される、パレスチナ各派による、反主流四派が会議に参加する前に、意見調整することが目的であった。11月のカイロでの会議では、エジプトのムバーラク大統領が彼の沽券にかけて、会議を成功させようとすることが、今の段階から予測される。
現在、パレスチナ内部が四分五裂していることから、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長は、イスラエルとの交渉で、パレスチナ全組織を代表する形で、発言することができず、不利な立場に立たされているからだ。
今回のガザの会議はもちろん、カイロ会議を成功させる目的ではあるが、反主流各派はPLOの中心組織であるファタハ(マハムード・アッバース議長もこの組織のメンバー)に対し、譲れない一線がある。
ファタハはイスラエルとの交渉の中で、明言こそ避けているが、パレスチナ難民のパレスチナの土地(イスラエルも含む)への帰還権を、実質的に放棄する姿勢にある。
冷静に判断すれば、それが無理のない、現実的なものであることが分かろう。数百万人にも及ぶパレスチナ難民が、イスラエル国内に帰還した場合、たちまちにしてイスラエル国内の人口構成は、パレスチナ側に有利になろうし、イスラエル政府としては、これら帰還パレスチナ難民に対して、教育、食料、衣料、住宅や職場の提供ができないだろう。
それでは、パレスチナ難民のすべてを、パレスチナ自治政府が受け入れ、西岸地区に住居を建設し、職を与えうるかといえば、それも不可能であろう。パレスチナ自治政府は故アラファト議長の時代から、実行不可能な「パレスチナ難民の帰還」を掲げてきたにすぎないのだ。
今回カイロで開催される、パレスチナ各組織の再連帯を、目的とする連帯会議で、反主流派の各組織は、パレスチナ難民の帰還権を、声高に唱えることになろう。同時に、67年の国境までのイスラエルの譲歩が、パレスチナ側が妥協できる、最低条件だと主張するであろう。
カイロ会議を成功させる目的で、開催されたガザでの会議は、結果的に、何の合意も生み出さない会議への、ガス抜きなのかもしれない。