先日、シリアの北部イラク国境に近い田舎町の家が、アメリカ軍の軍用ヘリで空爆され、8人の死者を出すという出来事があった。
当初は、その攻撃理由がぼやけていたのだが、ここに来て一気に明らかになってきた。この田舎町の家とは、アメリカ側の説明によれば、イラクでテロを展開している、アルカーイダの幹部、4人のうちの一人が潜んでいたところだった、というのだ。
彼の名はアブー・ガデヤで、もちろんこの名前はニック・ネームだ、ということだ。アメリカ軍ヘリに乗ったアメリカの戦闘員は、彼を殺害すると同時に、2人のアルカーイダのメンバーをさらっていったとう、現地からの情報がある。
事件後、シリア政府はアメリカ非難を、声高に唱えているが、それはある程度、自制の効いたものになっている。イギリスを訪問したシリアのムアッレム外相が、アメリカの攻撃は犯罪行為であり、もし同様のことが行われた場合、シリアは「目には眼を歯には歯を」で復讐すると語っている。
しかし、アメリカ側はこのシリア外相の非難に、全く耳を貸そうとしていない。アメリカ側はシリアの国境から、イラクにテロリストが侵入してくることは、イラクの治安を改善するうえで、非常に重要なことであるから、シリアと話し合う用意があると語っている。
アルカーイダ掃討作戦という言葉は、あらゆることに対する免罪符になっている感があるが、いかがなものか。同時に、イスラム過激派も、アルカーイダとの関連で、自身の組織の存在を、大きく見せようとする傾向があり、実態を隠すことも、考えているのではないか。
つまり、アメリカとイスラム過激派が、相互にお化けを活用しているということか。