サウジで約1000人のテロリスト裁判開始

2008年10月22日

 サウジアラビアは世界的に知られる、イスラム・テロリスト・グループ、アルカーイダのリーダーであるウサーマ・ビン・ラーデンを輩出した国だ。それだけに、この国には、ウサーマ・ビン・ラーデンの追従者が沢山いるし、彼と同じような考えを持つ者も、少なくないようだ。

 したがって、サウジアラビアの警察や内務省は、これらイスラム・テロリスト対策に追われている。これまでに、逮捕したイスラム・テロリスト容疑者の数は数千人に上り(数万人ではないかと思われる)、2007年の11月には、1500人が再教育の後に釈放されたが、その後にまた1000人以上が、収監されたということだ。

 彼ら収監者たちは、正式な裁判を受けることなく、刑務所の中に入れられているが、最近になって、サウジアラビア内務省はやっと、約1000人(991人)の裁判を始めることを決定した。

 裁判官は12人で構成されるということであるから、多分に長期間を要するものと思われる。あるいは、非常に簡単に判決が出るかもしれないが、その場合は、国際人権組織から、クレームがつくのではないか。

 サウジアラビアのナーイフ内相は、これまでに民間人90人、治安警察74人が死亡し、外国人を含む民間人439人が負傷し、治安警察657人が負傷していることを、明らかにした。

 彼の話によれば、これまでにサウジアラビアの治安警察は、160件のテロを未然に防止し、3トンの爆発物を押収し、25トンの爆発物製造原料を抑えたということだ。

 今回、サウジアラビアがイスラム・テロリストの、裁判に取り掛かったということは、これ以上、裁判なしに刑務所に収監しておくことが、国内では容疑者家族の不満が拡大し、社会不安の種になりかねないという懸念と、外国からの民主化が遅れているという批判に、対応しなければならなかったからではないか。もちろん、同時に、アメリカのグアンタナモ刑務所に収監されている、サウジアラビア人の一部が釈放され、帰国したこともその一因であろう。