イランのガラーム・フセイン・ヌーズリ石油相は、来年の石油価格を、1バーレル当たり55ドルから60ドルの間と予測している。したがって、イランの2009年から2010年にかけた予算も、この収入の範囲内で、組まれることになる。
イランは次年度の国家予算を、控えめに見積もりながらも、経済成長は6・6パーセントを、期待している。
イランが今回、石油価格を55ドルから60ドルの範囲、と想定しているのには、前年度の石油価格の予測が、1バーレル39・70ドルであったものが、一時期、100ドルを超えることもあり、大幅な増収となった経緯からではないかと思われる。
これに対し、OPECでは来年の石油価格を、75ドル程度と予測しているようだ。どちらが正解になるかは、来年になってみなければわからないが、これだけ世界経済が冷え込むことになれば、当然のこととして、石油の価格も下がることになろう。
そればかりか、世界全体が経済の落ち込みで苦しくなろうから、OPECだけが勝手に石油価格を引き上げても、売れないという状況すら起こりかねまい。
他方、ロシアが強力に推進しようとしてきた、原発施設の輸出も、石油価格が大幅に下がれば、当然のこととして、原発建設のメリットが下がることから、発注が減ることが予想できよう。
その意味では、日本や欧米諸国ばかりではなく、産油諸国も現在の金融危機を救うために、資金を投入主る必要がある、ということではないか。