パキスタンの南西部からイランのザヘダン州に広がる地域を、バルチスタンと呼ぶが、そこに居住するバルーチ族の間から、ジュンドッラーというゲリラ組織が誕生している。
そのジュンドッラーと呼ばれる、スンニー派の武装グループが、過去2ヶ月の間に、イランの国境警察や革命防衛隊と武力衝突し、ジュンドッラーのメンバー48人が死傷したというニュースが伝えられている。
民族が混交し、宗派が入り乱れる西アジアから中東地域については、何時どこで宗派間の武力衝突が起こっても、不思議ではなかろう。しかも、いまのような国際情勢下では、武力衝突は各方面の意向を受けて、行動を起こすグループが乱立している。
イラン側の伝えている情報では、イランのバルチスタンに隣接する国境地域に展開していた、イランの国境警察16人が、ジュンドッラーによって人質に取られており、そのなかには、司令官も含まれていたということだ。
こうなると、イラン側も放置しておくわけにはいかず、何度かの戦闘を、ジュンドッラーとの間で展開したものと思われる。現地のイラン側の司令官は、ジュンドッラーのメンバー38人を、殺害したということだ。
さて、このジュンドッラーは何を目的としてイラン側の国境警察を襲撃し、人質を取ったのかということを考えてみる必要があろう。いったい、何処の国がジュンドッラーを支援しているのかについても、考えてみる必要があろう。
ジュンドッラー・グループが、バルチスタンの住民によって、構成されているとすれば、彼らはパキスタンからの分離独立を考え、パキスタン軍に対する攻撃を、第一に実行するはずだ。それが、イラン側に対して、攻撃が行われているということは、問題が単純ではないということだ。