先週後半に、イスラエルの北部に位置する港町アッカで、パレスチナ人とイスラエル人との衝突が起こった。イスラエルのユダヤ人たちにとっては、ヨム・キプルの祭日に当たっていただけに、些細なことが原因だったが、イスラエル人とアラブ系イスラエル人(パレスチナ人)との、大きな衝突に発展してしまった。
このアッカの衝突を受け、ガザではアッカのアラブ系イスラエル人と連帯する、抗議集会が開かれ、数百人のパレスチナ人が集まり、イスラエルに抗議した。そのなかで、イスラミック・ジハードのムハンマド・アルヒンデイ氏は「イスラエルは民主国家だというが、人種差別国家であり、占領地のパレスチナ人に、更なる弾圧を加えようとしている。」と非難している。
確かに、イスラエル人がアラブ系イスラエル人(パレスチナ人)にしたことは、非難されてもしかたがあるまい。放火、暴力が頻発したのだから。もちろん、イスラエル人側も被害を受けた、と主張するだろうが。
問題は、このアッカでの出来事が、今後、イスラエル国内で、インテファーダを起こすことにならないかということだ。アラブ系イスラエル人とイスラエル人との、本格的な武力衝突に、発展しないかということだ。
すでに、PFLP(パレスチナ革命人民戦線)のスポークス・マンは、今回のアッカ事件に関して、強硬な立場をとった、イスラエル・ベイトヌ党の議員、アビグドル・リーバーマンをさして、2001年にPFLPによって暗殺された、内閣担当大臣だったラハバム・ゼエビ氏と、同じ運命をたどるだろう、と警告している。
PFLPのスポークスマンは「われわれの指は武器の引き金にかかっている。われわれはどこに銃口を向けるかをわかっている。シオニストのリーバーマンは、ラハバム・ゼエビと同じ運命をたどろう。」といった内容の発言をしているのだ。
パレスチナ側はこのアビグドル・リーバーマン氏が、イスラエル国内に居住するアラブ系イスラエル人を、ヨルダン川西岸地区に造る、巨大な入植地に移住させようと考えている、と思っているのだ。そうしたことは当然のことながら、アッカで起こった今回のような出来事を機に、パレスチナ人全体の、認識となっていく可能性が高い。
オルメルト首相が強く主張したように、いまイスラエルとパレスチナ人は、共生の最後のチャンスに、差し掛かっているのかもしれない。イスラエル人の安全を考えても、パレスチナ人の安全を考えても、暴発だけは避けたいものだ。