シリア軍が、レバノン国境に増強している、という情報が流れている。具体的には、シリアとの国境に近い、アッカ地区の近くだということだ。
そのシリア軍の数は、およそ1万人だと言われているが、増派の理由について、シリア側は密輸の取り締まりと、テロ防止だと説明している。
シリアの首都ダマスカスでは、最近爆弾テロが発生し、多数の死傷者を出しており、この犯行者について、シリア政府はイスラミストによるものだった、と説明している。
しかし、レバノン側は、今度のシリア軍の動きについて、二つの不安を抱いているようだ。反シリアの急先鋒ともいえる、サアード・ハリーリ議員(彼の父親故ハリーリ首相は、シリアによって暗殺された、とみなされている)は、シリアが再度、レバノンを軍事的に制圧することを考えての、動きだと非難している。
そして、レバノン側のもう一つの懸念は、シリアがイスラム原理主義者を、レバノンに潜入させることを、目論んでいるのではないか、ということだ。事実、レバノン国境に近いシリア北部には、イスラム原理主義者が、相当数集まっているようだ。
彼らイスラム原理主義者たちは、シリアがイラクに潜入することを、手びきしたイスラム原理主義者たちであり、その後、イラクでの戦闘が不利になったために、シリアに戻り、シリア側が国外に追放したい、と思っている人たちではないか、と思われる。
シリア側は今回の軍の移動について、国連の決議に基づくものであり、なんら非合法なものではないと説明している。
シリア軍の移動について、今のところイスラエル側が、特別な関心を寄せていないことが救いであろうか。シリア軍の動きが、単にレバノンに対するものであれば、国際的な危機につながる不安はないからだ。