トルコ・PKK武力衝突の疑問点

2008年10月 6日

 

 先週の金曜日、つまり10月3日に、トルコとイラクの国境に近い、トルコ側の軍事基地アクトトン基地が、イラク北部からPKKによって攻撃され、その後戦闘となり、トルコ軍兵士15人が死亡し、PKK側は23人が死亡するという、最近では希な、大規模な軍事衝突が起こった。

 この軍事衝突が起こったアクトトン基地は、これまで5回に渡って大規模な攻撃を受け、合計で45人のトルコ兵が死亡したといわれている。いったい、なぜこの基地だけがこうも多数の犠牲者を出し、何度も攻繰り返し撃されているのか、という疑問がトルコ国内では起こっている。

 そして、もうひとつの疑問は、戦闘が起こって7時間の間、なぜ空軍や援軍が駆けつけなかったのか、という疑問が広がっている。

 最初の疑問については、すでに軍幹部の汚職による、基地の手抜き工事の結果ではないか、という疑問が出ているし、第二の疑問については、エルゲネコンがそのように、軍内部にはらたきかけた結果ではないか、という疑問が起こっている。

 もうひとつの疑問は、この戦闘の発端は、PKKによって起こったのか、あるいはアメリカ軍もしくは、イラク軍によるものではなのかという点だ。このことに関する十分な情報は、トルコ国内で現段階では、止められているようだ。

 一部のトルコ人の間では、アメリカ・イラク・トルコとの関係を、壊そうとする勢力によるのではないかという疑問が広がっている。この推測が成立するとすれば、それはエルゲネコンによる、という推測が信憑性をもってこよう。

 ある友人は、今後イスラエルで大きなテロが起こるのではないか。もしそうであれば、トルコ・イスラエル・イラク関係に、相互不信が生まれ、東地中海沿岸諸国関係は、不安定化するだろう、と語っていた。そこまでは推測したくはないが、今回起こった武力衝突で、トルコ軍がばらばらな動きをしたことは事実であり、AKPが主導するトルコ政府を、窮地に立たせようとする勢力が、後ろで動いていた可能性はあろう。

 トルコの友人たちは、今回の15人のトルコ兵の葬儀が終わり少し時間がたったら、今回の武力衝突の真相が、少しずつ明らかにされていこう、と語っていた。あまり手の込んだ工作の、結果でないことを祈る。トルコ国内が不安定化すれば、すべての中東諸国が、不安定化することになるからだ。