イランが英語でニュースを流している、PTV(プレス・テレビ)というサイトがある。そのサイトが最近になって、連続してサウジアラビアの非難を行っている。
ひとつは「アラブの国がイスラエルのモサドと協力している」というタイトルのニュースであり、もうひとつは「サウジアラビア人がレバノンのサラフィー支援」というものだ。
最初の「アラブの国がイスラエルのモサドと協力している」というニュースを読んでみると、シリアで起こった、レバノンのヘズブラ司令官イマード・ムグニエのダマスカスでの暗殺には、サウジアラビアが情報を提供したとなっている。
また、シリアの軍司令官ムハンマド・スレイマンの暗殺の場合も、同様にサウジアラビアが情報提供し、モサドが犯行に及んだというのだ。イランのPTVは、このサウジアラビア側のモサドへの協力を推進している人物は、元駐米大使で現在サウジアラビアの治安の責任者である、バンダル王子だというのだ。
もうひとつのニュース「「サウジアラビア人がレバノンのサラフィー支援」というニュースの中では、レバノンのアラウイー派のリーダーであるラファアト・イードの発言として、サウジアラビアが北レバノンの、サラフィー・グループ(イスラム原理主義グループ)を支援していた、と語ったというものだ。
レバノンのトリポリ市で起こった軍用バスの爆破事件では、24人が犠牲になったが、これはサラフィーグ・ループによる犯行だったというのだ。この爆破テロは、サウジアラビアのあるグループによって支援され実行された、とレバノンの統一党党首ウイアーム・ワッハーブ氏が語っている。
このサラフィー・グループのレバノン入りを、ハリーリ議員(暗殺されたハリーリ元首相の子息)に強く求めたのはサウジアラビアのスルタン国防相だとも伝えている。ハリーリ議員はこの要請を拒否したということだ。このサラフィー・グループがレバノン国内で、アラウイー派に対するテロを行い、地域の安定を壊しているということだ。
イランがサウジアラビアに対して、連続してこうも非難を行っている裏には、サウジアラビアが来るイラン攻撃で、アメリカ軍の最大の攻撃基地になる可能性がある、とイラン側が考えているからではないか。アメリカがアフガニスタンに攻撃を仕掛ける前に、サウジアラビアは自国内からの、アフガニスタン攻撃を許可しなかった。
このため、アメリカ軍はサウジアラビアからカタールに、軍の本拠地を移動したといわれているが、やはり本格的な巨大な基地は、小国カタールでは無理であり、国土面積の広大な、サウジアラビアのなかにいまだにある、ということではないのか。
イランのあからさまなサウジアラビア非難
2008年10月 5日