イスラエルの与党カデマ党の、党首選挙が9月17日に行われた。立候補したのは元国防相で、現在運輸相のモファーズ氏と、外相のリブニ女史だった。
結果は、リブニ女史が僅差で当選する、というものだった。そのことは、与党カデマ党内部でも、イスラエル国民全体の中でも、不安定な状態を生みだすことにつながろう。
述べるまでもなく、今イスラエルはイランに対する対応を、どうするのかという、難しい問題を抱えている。しかも、それは来年2月を過ぎれば、手の打ちようのないものになってしまうのだ。
イスラエルは、イランが核兵器を持つに至る段階を放置するのか、あるいはそれを阻止するために、イランを軍事攻撃するのか、という問題なのだ。イランは「核兵器を開発する意思が全くない。」と言っているが、イスラエルとしては、イランの主張を鵜呑みにはできないだろう。
リブニ女史は、カデマ党党首選挙に勝利した後、連立工作を進め組閣しなければならない。それに与えられた期間は1ヶ月半、もし失敗すれば、総選挙を実施することになる。それは組閣失敗から3カ月でだ。つまり今年末、あるいは来年冒頭に、イスラエルでは、総選挙が行われる可能性がある。
述べるまでもなく、来年1月はブッシュ大統領が辞任し、アメリカの大統領が登場する時期でもある。イスラエルはこのことを、計算しているのであろうか。あるいは偶然のなせる技であろうか。
あるユダヤ人は、アメリカにおける金融業界の、危機的状況を捉え、ユダヤ人への寄付が集めにくくなった、と不安がっている。一部には、アメリカの国内で、反ユダヤの動きが出てきている、と指摘する人もいる。
リブニ女史の政治家としての経験が、不足だというつもりはないが、非常に困難な時期の、就任であることは、誰もが認めよう。彼女が平和的な、アラブ・イランとの共生共存を望むのであれば、世界は彼女を、支援すべきではないか。