イスラエルの専門家は、最近、パレスチナ組織のうちの、ハマース(イスラム系組織でガザ地区をコントローしている)と、ファタハ(世俗主義のマハムード・アッバース議長が主導する、現在のパレスチナ自治政府を擁する組織)を比べた場合、ハマースの方があらゆる意味で強い、という判断を下している。
ハマースは15か月前にファタハと戦い、ガザ地区の支配権を得ているが、イスラエル政府は彼らとの交渉の方が、イスラエル兵捕虜の釈放の上で、容易なのではないか、と考え始めている。
これまで、ファタハが中心となっている、パレスチナ自治政府との間で、人質交渉を行ってきたが、何の具体的な進展も見られないからだ。そればかりか、ファタハが支配している、ヨルダン川西岸地区での、ハマースの影響力は、必ずしも小さくない、という判断もイスラエル側はしている。
ファタハに力をつけて、パレスチナを統一させ交、渉が成立し、問題を解決していこうと思い、ファタハの中で最も人気のある、現在服役中のマルワーン・バルグーテイ氏を、イスラエスが釈放したとしても、それほどの効果はなかろうという判断が最近出ている。
アラブ諸国の中でも、パレスチナをまとめていく上では、ファタハだけではだめだ、という考え方が浮上してきている。その結果、次第にハマースをパレスチナ問題の中心の一つに、据えようという方向に、動きが出てきている。
もし、こうしたハマースをも含めた、パレスチナの統一を進めなければ、マハムード・アッバース議長の辞任、あるいは失脚後、パレスチナ内部は四分五裂し、内部闘争が展開される危険性すら予測される。