メッカの聖地は不動産投機の対象に

2008年9月11日

 サウジアラビアのメッカは、イスラム教第一の聖地だ。そこには、毎年ハッジ・シーズンだけでも、200万人を超える、巡礼者が押し掛けてくる。

 この事実は、信仰(来生)だけではなく、物欲(現世)も満足させてくれる要素が、メッカにはあるということだ。

 つまり、メッカは巡礼者の一大ショッピング・センターになっており、メッカとその周辺に、店舗をかまえている者は、どんなに小さな店でも、巨額の売り上げがあるということだ。

 そのため、メッカのカアバ神殿に近い場所の、土地が暴騰しているのだ。なんと、1平方メートルの値段が50万サウジ・リヤル(約1500万円)にも達しているというのだ。つまり、日本流に言うと、1坪の値段が4800万円するということだ。

 以前から腹が立っていることがあるのだが、メッカのカーバ神殿が、白の大理石で埋め尽くされ、神殿を囲む建物も豪華なものになったのだ。そのカーバ神殿が見える、近くに建つ高層ビルは、マンションが上部に位置し、下の階はショッピング・センターらしい。

 つまり、メッカのカーバ神殿は、人間の強欲が造り出した、高層建築により、てっぺんから覗くことができる、という形になってしまったのだ。非常に華美にはなったのだが、メッカの写真を見ていると、私が巡礼に行った、1974年当時とは異なり、何の神聖さも、感じさせなくなってしまっている

 そうは思いながらも、イスラム教徒仲間には、そのことを言いかねていたところ、数か月前だったと思うが、同じ感想を語っている人物が、ネット上に登場していた。

今回の、メッカの土地1平方メートルが50万サウジ・リヤル、というニュースを見て、ますます腹立たしくなってきた。聖地は国が管理し、売買の対象にしてならないのだ。