ペレス大統領の微妙な発言

2008年9月 9日

 イスラエルのペレス大統領はこれまで、鳩派という評価をされてきている。しかし、それはやみくもに敵との間で妥協する、という意味ではない。あくまでも、敵との妥協は、事実を積み重ねた判断の上での話だ。

 そのペレス大統領がイラン側に対して、大幅な譲歩とも取れる、微妙な発言を行っている。まず、彼ペレス大統領はイスラエルによる、イランに対する空爆について、どうしても必要であれば反対しないが、基本的には反対だ、という立場を明らかにしている。

 それは、イランに対する攻撃が、結果的に中東地域全体をはじめ、世界中に影響を及ぼす、危険性があるからだ。

 そうした判断の中で、ペレス大統領はイランという国家が、核兵器を持つことが問題ではないと語り、問題はイランの誰が、、それをコントロールするか、にかかっているというのだ。

 彼はスイスを例にとり、スイスが核兵器を持ったとしても、世界は別に危険だとは、思わないだろうと語っている。

 このことは、イスラエルの中には、

:イランが核兵器を持つようになるだろう。

:イランが核兵器を持った場合は誰にそれを支配する権利がるのか。

:つまり、どのような人物が核兵器を支配するのか、ということを問いかけているのだ。

 ペレス大統領はこの話の中で、アメリカが中東地域諸国に対し、民主化を押し付けていることについても言及し、アラブ諸国の中では、親米派のサウジアラビアやヨルダンを含め、「民主化」はある種の宗教として、受け止められているというのだ。

 この発言は、アメリカの中東外交に対する苦言であろう。そのような発言が、ペレス大統領の口をついて出てくるということは、アメリカの力による、民主主義の押し付けが原因で、イスラエルはより危険な状況に、追い込まれているということを意味していよう。