アメリカ民主党の大統領候補、オバマ氏の外交関係の補佐役であり、副大統領候補のジョー・バイデンという、フロリダ出身の下院議員がいる。その彼が最近、非常に微妙な発現をしている。
まず、最初の紹介するのは、彼が「イランの核を認めてもアメリカにとって、なんら損失も危険も発生しない」という内容の発言をしたことだ。これは、イスラエルにとっては、非常に微妙な内容であろう。確かにイランが核兵器を持つにいたったとしても、それはロシアや中国には向くことがあっても、アメリカには到達しまい。
イランが核兵器を持ったとしても、それが即ミサイルに搭載され、しかるべき外国まで届く、というものではない。それには、核の小型化やミサイルの性能向上が、なされなければならないからだ。その意味では、北朝鮮の核も日本にとってそれほど、脅威には至っていないのだ。
しかし、イランが核兵器を持ったということになれば、そのことが与える、国際政治上の効果はある。そして近場のロシアやイスラエルにとっては、現実に近い脅威ともなろう。イスラエルの盟友であるアメリカの、しかも次期大統領候補の補佐役が、アメリカにとって脅威ではないから、イランの核を認めるべきだ、という内容の発言をしたということは、現実的な冷静な判断であるとしても、イスラエルからすれば、裏切られ捨てられたような、感情を抱くだろう。
ジョー・バイデン氏のもうひとつの発言は、「ブッシュ時代にイスラエルの安全は、大幅に低下した」という内容の発言だ。これは正しい判断であろう、。確かに、ブッシュ大統領時代に「テロとの100年戦争」を宣言し、アフガニスタンのタリバン政権を打倒し、アルカーイダを敵として戦い、イラクのサッダーム・フセイン体制を打倒した結果、中東地域は以前よりも、不安定な状態になり、イスラエルの安全も、脅かされている。
レバノンのヘズブラがイスラエルに対し、公然と戦いを挑んでおり、パレスチナのハマースも同様に、イスラエルとの戦闘を行うようになった。しかも、イランなどが供与するミサイルその他の兵器を使い、攻撃は本格的なものになっている。
イスラエルはこのジョー・バイデン氏の、冷静で客観的判断と発言を受け入れるのか、あるいは逆に強硬派といわれる、マケイン候補の立場を支持するのか、選挙が近づいているだけに、気になるところだ。
そのマケイン候補が、副大統領候補に選んだのは、アラスカ出身の保守派女性、サラ・ペイリン女史だ。彼女についてイスラエルのエルサレム・ポスト紙は「どういう政治思想かわからない」と疑問符をつけている。このことは、マケイン候補に対しても、不明だということを意味している。
イスラエルのイラン対応で、辛口の発言をしているジョー・バイデン氏のほうが、イスラエルにとっては信頼できる相手かもしれない。つまり、オバマ候補のほうが、支持しやすいのかもしれない、ということだ。そうはいっても、選挙の結果がこれで決まった、イスラエルの支持候補が決まった、というわけではないが。