イラン・ブシール原発来年稼働へ

2008年9月 2日

 イスラエルのエルサレム・ポスト紙が伝えるところによると、イランとロシアとの間に契約が交わされ、建設が合意されていたブシールの原発が、来年早々に稼働することになった。

 イランのブシール原発は当初、2006年に稼働する予定であったが、イランとロシアとの間で、支払い問題が生じ、これまで完成が遅れていた。このブシール原発の完成を控え、ロシアは核燃料の供給を始めることになった。

 問題は、このブシール原発が、ペルシャ湾に近い場所に位置していることから、イランの首都テヘランというよりも、事故が発生した場合、バハレーンをはじめとする湾岸諸国に、与える影響のほうが大きいと予測されている。

 イランの原発完成は、同時に将来の核兵器開発に、つながると思われており、その核兵器によって攻撃される可能性の、最も高いイスラエルは、イランの核開発に対し、異常なまでの関心を寄せている。

 イスラエルが最近、声高に単独でもイランの核施設を攻撃する、と叫んでいるのはこのためだ。もし、イスラエルがイランのブシール原発に対して、空爆を敢行するとすれば、原発施設に燃料棒が入る前に、攻撃しなければなるまい。燃料棒が入ってからでは、放射能の拡散の危険性が、懸念されるからだ。

 したがって、イスラエルにとって今回の、ブシール原発完成の情報は、イランのブシール原発に対する攻撃を、急がせることに繋がるかもしれない。

 こうした情報が飛び交っているなかで、ロシアがS-300地対空ミサイルを、イランに輸出するという情報が流れ、イスラエルによるイランの核施設空爆が、困難になる可能性が出てきている。

 アメリカ政府は現在の段階では、外交と制裁による解決を口にしているが、専門家の間では、外交や制裁は十分な効果を生まないであろうことから、アメリカは大統領選挙前に、イラン攻撃に踏み切る可能性を否定できない、とみているようだ。