最近、イラクのクルド地区で、ペシュメルガ(クルドの自衛軍)が支配していた地域を、イラク軍がコントロールする方向で、動き出している。これについて、本来であれば、ペシュメルがとイラク軍との間で、いざこざが起こりそうなのだが、今のところ問題が起こっていない。
同じように、バグダッドに近いアンバル県でも、アメリカ軍に代わって、イラク軍が地域の治安を、担当することになった。これは本来であれば、6月の段階で治安権限の移譲がなされるはずだったのだが、2度にわたって遅延があり、今回実行されることになったのだ。
この二つのケースから想像できることは、マリキー政権が相当強く、アメリカに対し治安権限の移譲を、即しているであろうということだ。同時に、そのことはアメリカとの間の、地位協定についても、マリキー政権はできるだけ締結したくない。もし、どうしても締結せざるを得ない場合には、できるだけ短期間にしたい、ということであろう、
最近になって、アメリカ軍がイラク国内に駐留する、最終時期は2015年が期限だ、という情報も流れ始めている。つまり、イラク政府もアメリカ政府も、お互いにその頃までには、アメリカ軍の本隊を撤退させたい、と思っているのであろう。もちろん、だからと言って、アメリカ軍の全部隊が、イラクから撤退するわけではなかろう。
イラク国民の、アメリカ軍駐留反対のムードを、これ以上盛り上げたくないという判断が、イラク政府にもアメリカ政府側にも、出てきたということではないか。そうであるからこそ、マリキー首相は先日報じたように、アメリカとの撤退合意ができたと、部族長たちに話したのであろう。