スーダンの南部にあるダルフール地区は、これまで反政府の動きが、激しかったところだ。スーダンのバシール体制は、何度となくこのダルフールに対する、攻撃を繰り返してきた。
結果的に、多くの死傷者が出たことから、バシール大統領は虐殺の容疑で、国際司法裁判所から、追及されている。その被害状況が、相当のレベルに達しているのであろうか。現役の大統領が、国際司法裁判所から追及されるのは、例がなかったことだと言われている。
バシール大統領はトルコで開催された、OIC(イスラム諸国会議)に参加した折に、自分の立場を説明し、国際司法裁判所に追及される筋合いはない、と語っているのだが。
常識的に考えて、こうした状況の中では、ダルフールに対する対応を和らげ、世界の批判を軽減するのが、当り前であろうが、バシール大統領は全く逆の対応を、強化させている。
過去3-4日の報道を見ていると、スーダン政府は軍に対して、ダルフールの南近郊にある、カルマ難民キャンプに対し、強硬策に出ているようだ。そのため、一説によれば(元SLA=スーダン解放軍のメンバー)、27人から38人の死者が出たということだ。
スーダン政府の説明によれば、今回の強硬策が採られたのは、以下のような理由によるということだ。
:テロリストをカルマ・キャンプ内に入れない。
:カルマ難民キャンプ内に隠匿されている武器、弾薬、爆発物を撤去する。
:カルマ難民キャンプ内に隠匿されている麻薬を押収する。
:カルマ難民キャンプ内に隠匿されている盗品を回収する。
しかし、どう見ても今回進められている、カルマ難民キャンプへの強硬策は、バシール大統領の焦りと怒り以外の、何物でもないように思えるのだが。その結果、虐殺が昂進されれば、彼の立場はますます、不利なものになろう。どうやら、バシール氏が大統領の地位にとどまっている時期は、早晩終わりが来そうだ。
スーダンのダルフール強硬策は何故
2008年8月28日