モーリタニアのクーデターとその後

2008年8月26日

 

8月の始めに、モーリタニアでクーデターが起こり、アブドッラーヒ大統領が失脚した。彼は今年、日本で開催されたTICADに参加し、日本人の間でもある程度知られていた。

 クーデターは述べるまでもなく、軍部によって行われたが、そのリーダーはアブドルアジーズ将軍だった。彼は今回失脚したアブドッラーヒ大統領を、公正な選挙で選出することに繋がる、前回のクーデターにも参加していた人物だ。

 つまり、本来アブドルアジーズ将軍は、今回のクーデターで失脚した、アブドッラーヒ大統領と親しい関係にあったのだ。それにも拘らず、今回クーデターが発生することになったのは、アブドッラーヒ大統領自身に問題があったというよりも、彼の妻に問題があったようだ。

 アブドッラーヒ大統領の妻は、慈善基金の総裁をしていたが、その資金の運用に、汚職があったのであろう。

 クーデター後のモーリタニアは、援助国のアメリカやEU諸国から、締め付けを受けている。そればかりか、世銀や国連安保理も、厳しい対応をクーデターによって誕生した、臨時政権にしているようだ。アブドルアジーズ将軍は早期の選挙を約束はしているが、いまだにそのタイムテーブルは、明らかになっていない。

 アフリカ諸国に対しては、リビアのカダフィ大佐がクーデターで誕生した政権を、承認するよう働きかけているようだが、ほとんどのアラブ諸国は、モーリタニアの持つ国際的な価値が低いことからと、過去にクーデターが頻発したことから、あまり真剣に事態を受け止めていないようだ。(モーリタニアは少量の石油と、鉄鉱を産出しているが、石油は最近生産量が減少警告にあるようだ。)

 アブドルアジーズ将軍は国内やサハラ地域での、アルカーイダ掃討作戦を実行していると、アメリカに訴えることにより、心象をよくしようとしているが、いまのところアメリカからの、しかるべき好転の反応はない。