イスラエルのエルサレム・ポストが伝えるところによれば、イスラエルが封鎖しているガザに、船で入境を試みた、人道支援者たちの上陸を許可した。これは大きな変化として、受け止めるべきではないか。
これまで、イスラエル政府はガザを封鎖し、出入りを厳しくコントロールしてきていたが、今回の元ベングリオン大学講師ジェフ・ハルパー氏の指揮で、船でガザに向かった支援組織のメンバーが、ガザに上陸することを認めたのだ。
ハルパー氏は2艘の船が上陸できたのだから、3番目の船も可能だろうと語り、今回の支援は医薬品が少量持ち込まれただけだったが、次回からは支援品を増やす予定のようだ。
支援品を届けることに加え、今回のもうひとつの目的は、パレスチナ人青年を船に乗せて出国させ、キプロスなどの大学に入学させてやることだ。もちろんこの留学計画は、今後も続けられることになろう。
しかし、イスラエル政府側は現在なお、海上封鎖は続いているとし、今回、支援船の接岸を認めたのは例外的措置であったとしている。それは、ライス国務長官のイスラエル訪問と、バラク国防相のエジプト訪問を控えていたからだということのようだ。
しかし、今後も同じような人道支援の船がガザに向かった場合、イスラエルはどう対処するというのだろうか。強制的に海域から追い出すかもしれないが、その場合、西側マスコミのカメラがその様子をくまなく撮影し、場合によっては実況中継で、報道するのではないか。
そうなった場合、イスラエルにとっては大きなマイナスとなろう。苦しい生活を強いられている、ガザの住民の様子と、優雅な生活をしているイスラエル国民とが、対比されて放映され、加えて、武力でガザ接岸を阻止される、人道支援船の映像となれば、誰が見ても、イスラエル政府の強引なイメージが強いものになろう。
この人道支援グループのメンバーの何人かは、上陸後ガザのラファ・ゲートから、エジプトに向かう可能性がある。もし、それが可能になれば、海路だけではなく、陸路にも風穴ができるということになる。イスラエルは対応に苦慮することになろう。もちろん、イスラエル国内の和平派は、内心ではこの動きを、歓迎しているかもしれないが。