カダフィ子息サイフルイスラームの反逆?

2008年8月22日

 リビアのリーダーであるカダフィ大佐の、子息の一人サイフフルイスラームは、国際的に温厚な性格であり、常識的な言動をする人物として知られている。

 彼は他の兄弟たちとは違い、外国でおろかな言動をする、というようなことはなかった。つい最近も、彼の兄弟の一人ハンニバルは、スイスで従者を殴る事件を起こし問題となった。

 サイフルイスラームはこれまで、父親であるカダフィ大佐の、国際関係で起こす問題の処理と、国内的な問題処理に、忙殺されてきた感じがある。ハンニバルのスイスで起こした問題をめぐる、リビアと父親カダフィ大佐の対応に対し、サイフルイスラームは我慢の限界に達したのであろうか、一切の政治活動から手を引くと宣言したのだ。

 彼の辞任(?)については、幾つもの憶測が飛んでいるが、サイフルイスラーム自身は、リビアの国内状況が大分改善されたので、自身の役を降りるだけだと語っているが、多分にスイスでの問題をめぐり、カダフィ大佐との間で口論になったのではないかと思われる。

 弟であるハンニバルが、スイスで起こした従者に対する暴力事件で、スイス警察はハンニバルを逮捕するのだが、外交官という立場を主張して釈放された。以後、リビア側はこのスイスの対応を不服として、スイス向けの石油を止めるという措置に出ている。

 誰が考えても、これは国家の判断というよりは、子供じみた判断であろう。サイフルイスラームはこうした父親とリビアのやり方に対して、恥ずかしいと思ったのではないか。

 サイフルイスラームの辞任は、リビアの南部都市セブハで開催された、数千人の若者が参加した集会での演説に含まれていたようだ。

 受け取りようによっては、サイフルイスラームが父親カダフィ大佐とは異なるスタンスを、世界に示すことにより、彼に対する信頼と評価を高めるものであり、同時に世界に対して間接的にわびたのかもしれない。

 最近、カダフィ大佐はチュニジアを訪問し、チュニジアの大学から名誉博士業を授与されたと伝えられているが、そろそろサイフルイスラームに権限を交代し始めるのかもしれない。そうであれば、ことは順当に推移しているということか。