これまで、トルコのビジネスマンに会う度に、何度も繰り返して話してきたのだが、現在、ドバイが進めている経済発展のパターンは、近い将来必ず破綻するということだ。
ドバイに初めて出かけた人は、ドバイの魅力を口にするが、所詮は博打場経済でしかない。しかも金は他人の懐が狙いなのだ。イスラム金融にしろ、ほかの金融にしろ、アブダビにかなうわけがない。
ドバイが現在の位置を保っていけるか否かは、湾岸諸国の投機資金が、どこまで継続して入ってくるかによろう。それと酒、女、生活スタイルが欧米と変わらない便利さ(?)による、欧米人のドバイに対する評価ではないか。もちろん航空、海運、通信といった分野での、発展努力という意味でのドバイの努力もあろうが。
ドバイで話題になっている人工島の住宅は、所詮人の住めるところではない。摂氏50度の国で、しかも、高い湿度と来たら、快適な生活環境であるはずがないのだ。
もちろん、エアコンの効いた自宅から、エアコンの効いた車に乗って、エアコンの効いた執務室に向かい人たちにとっては、快適かもしれないが、それも季節によっては、耐え難いものだろう。
その点、トルコの持つ海岸線は黒海、マルマラ海、エーゲ海、地中海と長く、気候も人間の生活に最適なのだ。したがって、湾岸諸国の最悪の気候の中で生活している人たちから見れば、トルコの海岸線の居住地域は、天国のようなものであろう。
エジプトに湾岸諸国の人たちが向かったのは、自国と比較して、まだましなことと、アラビア語が使えるメリットだったと思う。そのため、エジプトは湾岸諸国の人たちを対象に、巨大なショッピング・モールを建設し、豪華なホテルと邸宅を建てもした。
こうしたエジプトの努力を見てか、トルコでも湾岸諸国政府や、同地域の住民を意識した、対策を採り始めている。テレビ番組では、アラビア語放送が始まり、湾岸諸国の人たちが受け入れられる、ホーム・ドラマや歴史ドラマが増えているということだ。
その甲斐あってか、今年は湾岸諸国からの家族旅行、しかも、長期滞在組が激増しているということだ。トルコは実際に行ってみると、病みつきになる魅力のある国なだけに、今後、湾岸諸国の人たちの訪問が増え、加えて不動産の購入が増え、投資が増えていくものと思われる。その可能性をトルコ人たちも意識し始めている。