トルコでは、連日、エルゲネコンと呼ばれる、影の権力集団をめぐるニュースでにぎわっている。この影の権力集団を、一掃出来るか否かが、今後のトルコ発展に直接関っているだけに、ことは重大なのだ。
これまで搾取される側に回っていた、トルコの一般国民からすれば、エルドアン政権の進める、エルゲネコン狩りは、まさに革命的な出来事であろうし、逆に、これまで権力の座にいて、うまい汁を吸ってきた、表面に出ている権力者や、裏側でほくそ笑んできた、権力と繋がる人たちにしてみれば、まさに地獄の日々の始まりであろう。
エルゲネコンに関する記事が、連日、しかも何本も新聞に登場し、テレビのニュースや解説で流されている中で、「エルゲネコンのボスとはどういう人物なのか?」ということを、多くの人々の推測と事情通の情報を元に、モンタージュを作ってみたところ、これがトルコ共和国建国の父ケマル・アタチュルクに、そっくりだったということだ。
その似顔絵は、与党AKPを支持するマスコミでは、大々的に紹介され笑いを誘ったが、世俗派のマスコミは、これを一切掲載しなかったということだ。当然であろう。いまをときめく、大悪党集団エルゲネコンのボスの似顔絵が、トルコ共和国の建国の父であり、世俗主義を主導したケマル・アタチュルクにそっくりなのでは、世俗主義者は激怒したことであろう。
他方、AKP支持者たちにしてみれば、これほど笑える話はなかろう。AKP支持者たちが腹を抱えて笑っている様子を、見られないのが残念だったが、その話を私にしてくれた人物は、話しながら噴出していた。
つまり、トルコの世俗主義あるいは、いままでの傾向が、エルゲネコン事件で、全く様相を異にしたということだ。それだけ、エルゲネコン事件はトルコを変革させているということであり、まさにトルコ共和国第二革命、あるいはトルコが、第二共和国の時代を迎えたといえよう。