一昨夜、二人の大使に誘われて、六本木のレストランで夕食を共にした。一人はイラク大使もう一人はモーリタニア大使だった。二人は大の日本びいきなのだ。
イラク大使は、イラク国民のほとんどが、イラク石油の開発を、日本企業が進めてくれることを望んでいると語り、これまでの日本企業の功績を、たたえてくれた。
そして、これからイラクは治安の安定化と共に、本格的な石油開発を進めていきたいと語り、そのためには、日本の民間企業を、政府が後押ししてくれることを、望んでいると語っていた。
イラクは現在世界で、最も石油の可採埋蔵量の、多い国だとみなされている。一説によれば、3500億バーレルの可採埋蔵量があるといわれているが、5000億バーレルだという説もある。
現在はサウジアラビアが、世界一の可採埋蔵量を有している、といわれているが、そのサウジアラビアの可採埋蔵量は、2600億バーレルで20年前から変わっていない。
常識で考えれば、サウジアラビアの可採埋蔵量は、それよりも減少しているはずだ。しかも、サウジアラビアは石油価格の調整役として、スイング・プデューサーの役割を果たしてきているだけに、大幅に可採埋蔵量は減っているはずなのだが。
サダム体制の時代に、サダムの親戚の女性と結婚している外交官が、日本に駐在していたが、彼とは親しい付き合いをしていた。彼はバグダッド地域の地下にも、膨大な石油が眠っていると話していた。
その話をすると、イラク大使はその通りだと語り、現在、日本の企業が試掘しているところだと語っていた。この地域には500億バーレルの石油が、眠っているということだ。
イラク大使は日本企業との間に、石油開発から精製までを、共同で進めたいと、マリキー首相が強く希望していると語っていた。そのためには、日本とイラクとの政府間合意が、結ばれることが最も好ましいとも語っていた。
日本企業がイラクに進出を控えているのは、企業のトップが万が一の場合に責任をとりたくないことと、外務省の対応に原因があるのではないか。イラクに駐在していたある日本大使は、イラクの治安が大幅に改善したから、民間企業に出て行って欲しいと語っていたが、外務省の海外安全情報を見ると、相変わらずイラクは、危険地帯であり退避勧告になっている。大使の発言と外務省の立場とは、異なるということだ。
もう一人はモーリタニアの大使だったが、彼は何年か前に、日本政府がモーリタニアの地下資源調査をしてくれ、金、ダイヤモンド、鉄、銀などの鉱物資源があることを確認してくれた。
しかし、カナダやオーストラリアの企業は、モーリタニアでこれらの鉱物資源の開発を進めているが、日本企業は出てきてくれないと話していた。何とか、日本企業が出てきてくれることを望むということだ。
以前、元商社に勤めている友人と話しているときに、彼は一本100万円以上もする大型のタイヤが、モーリタニア向けに、飛ぶように売れていたと話していた。これは鉱山で使用される車両に使うものだ。
モーリタニアの大使から、私にぜひモーリタニアを訪問し、貴方の目で見たモーリタニアの社会、治安、経済の可能性など、総合的な報告を出して欲しいといわれた。多分、彼の意向に沿うよう、11月頃までにはモーリタニアを訪問することになるだろう。日本企業の皆さんに、ぜひモーリタニアへの関心を、抱いていただきたいものだ。その参考になる報告が出来ればと、今から望んでいる。
大雨が降っていたことで、帰路はイラク大使の車に、便乗させてもらった。イラク大使は車中で「日本企業は仕事の完成度を中心にし、儲けはその後と考えるが、欧米企業は儲けることが優先し、仕事の完成度が主目的ではない。
モーリタニアのような新興国には、日本のような正直な国の企業に、進出していってもらいたいと望んでいる。イラク国民も日本の企業が来てくれることを、心待ちにしているのだ。」と語っていた。日本はこうした国の期待に、応えるべきではないか。