何時ものパレスチナ政府の金欠病

2008年7月30日

 パレスチナ自治政府のファッヤード首相が、パレスチナ自治政府の資金難について語っている。

いわく「パレスチナ自治政府は資金難に陥り、7月分のサラリーが払えない。このままの状態で行けば、パレスチナ自治政府は公務員や警察の支持を失い、危険な状態になる。他方、ハマースはイランやラジカルな援助者から、巨額の資金援助を受けている。」というのだ。

パレスチナ自治政府の説明によれはば、2007年12月に開催されたパリのパレスチナ支援会議では、77億ドルの約束をしたにも拘らず、受け取った金額は9億ドルだったというのだ。

2008年にパレスチナ自治政府が受け取る、寄付の金額は30億ドルだったが、受け取った金額はこの35パーセントでしかないということだ。これでは15万人いるパレスチナ公務員にの、サラリーが払えないばかりか、パレスチナ政府の下にある、各種団体や組織も運営していけないということだ。

そして、約束の金額を援助してくれていない国として、パレスチナ自治政府側はアラブ諸国を挙げている。たとえば、サウジアラビア政府は3年間で、5億ドルを援助してくれるといっていたが、その20パーセントにも満たない金額を、送ってくれただけだということだ。

クウエイトもまた、8千万ドルを約束していたが、その約束の金額には、達していないということだ。カタールも2億ドルの援助を約束していながら、ファタハとハマースの対立が激化したことを理由に、援助が止まっているということだ。

アラブ諸国にしてみれば、パレスチナ自治政府が援助金を、幹部の間で好きなように浪費しているのに、寄付をするのは馬鹿らしい、ということであろう。ファタハとハマースの問題も、そもそもはファタハ(マハムード・アッバース議長のグループ)が浪費していることが、分裂の理由のひとつだった。

その分裂を解消せず、しかも、ファタハ幹部の浪費が続くなかでは、援助を期待するほうが、無理なのではないか。つまり、アラブ諸国の資金援助が少なくなっても、自業自得であろうということだ。パレスチナ自治政府は援助国を非難する前に、まず自分の襟を正すべきであろう。

パレスチナ自治政府の幹部が、好きなように浪費しても、黙って援助を続けているのは、日本政府ぐらいなものであろう。日本政府はパレスチナ自治政府が、正しく援助金を使っているというが、パレスチナ人にはどうにでも、つじつまが合わせられるのだ。