親が親ならリビア版

2008年7月26日

 北アフリカの地中海に面した国リビアは、80年代世界の耳目を集めた。述べるまでもなく、カダフィ大佐の傍若無人の振る舞いと、これに劣らぬアメリカの、レーガン大統領のリビア対応によってだ。

 レーガン大統領はカダフィ大佐を「狂犬」と呼び、カダフィ大佐はアメリカに挑戦すると豪語していた。その後に起こったパンナム機爆破事件や、フランス機の爆破事件は、リビアの犯行とされた。

 以来、アメリカは先進諸国に働きかけ、リビアに制裁措置を採った。結果はリビアが降参し、アメリカとの関係を、修復することになった。その代償は巨額に及んだ。パンナム機の爆破については、リビア以外の犯行説が幾つかあったが、リビアはパンナム機の乗客で犠牲となった遺族に、保証金を支払ったのだ。

 彼の息子は何人かいるが、日本を訪問したのは2人、そのうちの一人サイフ・ル・イスラームは、きわめて常識的な考えを持っている人物だ。彼は父カダフィ大佐に対し、考えを変えるように何度も助言したが、聞き入れられなかった。

 それを見ているほかの息子たちは、わがまま放題で父親譲りの、乱暴者で通っている。今回も3男のハンニバルが、スイスのホテルで女性を殴打し、スイス警察が逮捕したが、外交官特権で間も無く釈放されている。

 ハンニバルは以前にも、同様の暴力事件を起こしている。しかし、リビアが産油国であり、ヨーロッパはリビアの石油に依存していることから、強硬な対応がとれないで来た。

 今回のケースでは、リビア側がスイスに対し、謝罪を求め石油の供給をストップした。これでは、ハンニバルが暴力事件について、反省などするはずがない。ヨーロッパの小国スイスが、この事件を最終的にどう処理するのか、関心がもたれるところだ。

 日本政府は彼のような人物に対し、入国を認めないのが正解であろう。入国後に事件を起こされ、結果的に無罪放免にしたのでは、日本が笑いものにされるからだ。