先週の土曜日に、ジュネーブで開催された、イランの核問題をめぐる会議は、結果的に、イランに鼻であしらわれた感じで終わった。イランはこれといった、新たな提案を用意していなかった。
サイード・ジャラーリ・イラン代表は、イランには核開発の権利がることを強調し、濃縮活動を止めることはないと言い切った。イランの側からすれば、その通りであろう。イランも他の国々同様に、核の平和利用をする権利があり、そのことを止められるいわれはないということだ。
確かにその通りであろう。しかし、イランにとって不都合なことは、アメリカやイギリス、イスラエルなどは、イランの核開発は最終的に、平和利用だけではなく、核兵器の開発に繋がる、という強い懸念を抱いているということだ。
ジュネーブの会議では、新たな妥協案がヨーロッパ諸国から出されたが、イランはその提案に対して、特別な関心を示さなかった。それでは何故、欧米の要人を集める必要が、あったのかということになろう。
イギリスのブラウン首相は、訪問先のイスラエルでイランを非難し、アメリカのライス国務長官も激怒した。彼女は近い将来、イランは新たな制裁を受けることになろうと語っている。
アメリカとイギリスを皮切りに、ヨーロッパのほとんどの国も、今回のイランの会議への対応を非難しよう。そして、その先にはイランを世界の海から完全に孤立させる、より厳しい制裁が待っていよう。そしてその後には、イランに対する軍事攻撃すらも懸念されよう。
イスラエルの軍の高官が1週間に渡って、アメリカを訪問し、軍や国務省、ホワイト・ハウスの要人らと膝詰めの交渉をしてくることになっている。その内容は述べるまでもなく、イランに対する今後の対応であろう。
イランが何処までも妥協をせずに行くのか、その根拠は、アメリカやイスラエルには、イランを攻撃する能力がないという見くびりからか。事態はイランが考えているほど、容易ではないのだが。
イランの強硬派は、アメリカやイスラエルの攻撃があっても、反撃し勝利できると確信している。イランの穏健派は、イスラエルやアメリカが攻撃してくることは、無いだろうと踏んでいる。そのいずれも、イランをして楽観させているということが、最大の問題なのだ。これではイラン側からの妥協は期待できまい。