ブレアのガザ訪問中止は何を意味しているのか

2008年7月17日

 イギリスのブレア前首相が、パレスチナの西岸とガザを訪問することになっていたが、イスラエル政府の強い要望で、ガザ訪問をキャンセルした。

 ブレア前首相はガザを訪問するに当たって、ハマースとの会談は行わないと言っていた。訪問はあくまでも、ガザ住民の惨状を視察し、しかるべき人道援助をするためだったとされている。

 それでは何故、イスラエル政府はブレア前首相に対し、ガザ訪問を中止するよう、強い要請をしたのか、という疑問が沸いてくる。このことについて、イスラエルはブレア前首相が、ガザを訪問する予定にしていた時期に、ガザに対する軍事行動を起こす計画があったからだ、という情報がある。

 しかし、それはために流されている情報ではないか。イスラエルはガザ住民の惨状が、ブレア前首相によって外部に伝えられ、国際的にイスラエルに対する非難が起こることを、第一番に懸念したのではないか。

 イスラエルはいま、シリアとの緊張関係、レバノンのヘズブラとの緊張関係、イランとの強い敵対関係にある。そのような状況の下では、ひとつでもイスラエルに対する国際的非難の、原因となるものを抑えたい、ということがあるのではないか。

 ヘズブラとの捕虜交換で、イスラエルに帰ってきたのは、二人の兵士の遺体だけだった。他方、ヘズブラ側にはイスラエル人殺害犯の、クンタールが帰された。述べるまでも無く、ヘズブラは今回の交換を勝利と受け止めている。

 イスラエルはこのことも含め、何らかの失地挽回をしなければなるまい。そのような時期に、ブレア前首相にガザを訪問されることは、イスラエルとしては、なんとしても認めたくなかったのであろう。