いまスーダンでは、オマル・バシール大統領が、国際犯罪裁判所(ICC)の検察官によって逮捕され、裁かれる危険性が高まっている。
オマル・バシール大統領にかけられている嫌疑は、ダルフールでの大量虐殺だ。国連や国連の支援を受ける国際犯罪裁判所(ICC)が、この件を重視しているのだ。
オマル・バシール大統領は、何とかこの嫌疑から逃れ、逮捕をまぬがれようとして、アラブ連盟に対し、緊急会議の開催要請を行った。しかし、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、地中海周辺諸国会議参加のためパリを訪問中であり、いまのところ、アラブ連盟が緊急会議を開催する予定は、まだ立っていない。
アラブ連盟の事務局側はまだ、時期尚早と見ているようだ。オマル・バシール大統領は不安を募らせ、パリ訪問中のバン・キー・ムン国連事務総長に電話したが、バン・キー・ムン事務総長は、即答を避けているということだ。
そこで、オマル・バシール大統領は中国とロシアに、助けを求めたようだが、両国の支援は非公式なものだということだ。
この時期に一体、何故スーダンのオマル・バシール大統領が、国際犯罪裁判所の検察官に狙われたのか、ということが気になる。ご存知の通り、スーダンのオマル・バシール大統領と中国との関係は、ガス・石油の開発と輸出で、強い関係にある。
中国政府はこれまで、スーダンのガス・石油を手にするために、オマル・バシール大統領政府(北部スーダン)に対し、大量の武器と資金を、提供し続けてきているということだ。
このスーダンと中国との関係を潰すために、今回の動きが起こってきたのであろう。オマル・バシール大統領が失脚することになれば、その後は、スーダンの分割ということになり、南部スーダン(ブラックアフリカ系)はもとより、北部スーダン(アラブ系)の新大統領も、欧米派が就任することが予測される。
結果的には、中国がこれまでガス石油を狙って、スーダンに投資してきたことが、完全に水の泡に帰する可能性が、出てきたということだ。
今回の動きを通じて、中国政府は、アフリカ大陸はヨーロッパ人・アメリカ人のテリトリーだ、ということを思い知らされるのではないか。胡錦濤が田中角栄に似てきたような気がするが?