エルドアン首相は米軍撤退後のイラクを睨む

2008年7月13日

 トルコのエルドアン首相が、イラクを訪問し、経済、文化治安など多くの面で、協力していく合意に達した。

 トルコはイラクとの間に、高級戦略協力会議を結成し、両国の協力関係を継続的に討議していく、システムを構築した。そのなかには、石油生産の協力が含まれているが、トルコは100万バーレル規模の原油をイラクで生産し、輸入していく方針だ。 

石油以外にも、兵器の製造の協力や、軍人のトルコでの訓練もあり、最終的には、アメリカ軍の撤退後、トルコがイラクの治安維持に、協力していく方針のようだ。

つまり、イラクはトルコにとって、地域内で最大の経済関係を、構築していくということだ。このことを、イラクが受け入れたということは、イラクの政府と国民が、出来るだけ早急に、アメリカ軍が撤退していくことを、期待しているということでもあろう。

イラクにトルコが関与していくことは、スンニー派のイラク人にとっても、クルド人にとっても、受け入れやすいということだ。トルコはスンニー派のムスリムがほとんどであり、イラクのスンニー派ムスリムは、安心してトルコとの関係を構築していこう。

クルド人についても、既に述べてきたように、バルザーニ議長はトルコを最も信頼している。サダム時代にクルド人が窮地に追い込まれたとき、クルド人救出に動いたのは、トルコ軍でありトルコ政府だったのだ。

イラクのシーア派ムスリムにしてみれば、イランからの強い影響を受ける状況の中では、トルコの存在が彼らイラクのシーア派ムスリムの、自由を保障してくれるだろう。

トルコのイラク対応は、現時点では大成功ということであろう。それはトルコ国内が直面している問題の解決にも、好影響を及ぼすものと思われる。