バルフォア卿のお化けが非難され始めた

2008年7月 1日

 パレスチナの民間組織が、やっと今になって、イギリスのパレスチナ問題に対する、責任を追及し始めたようだ。

 イギリスのバルフォア卿が、1917年に、ユダヤ人に独立した国家を与えると言ったことが、後にイスラエル国家が建設される、きっかけとなったことは、中東関係者の誰もが知っていることだ。

 しかし、これまでパレスチナは表立っては、イスラエルの建国とその後について、イギリスの責任を強く追及することはなく、ユダヤ人とその国家イスラエルに対する、非難だけを繰り返してきている。

それは、イギリスが中東政治の中心的存在であり、イギリスを敵に回すことが、パレスチナにとって損になるという、判断をしていたからかもしれない。

 ここに来て、パレスチナ側がイギリスの歴史的責任を、追及し始めたのはなぜであろうか。パレスチナ側は書類をそろえ、イギリスの裁判所に、このことを提訴する、予定だということだ。

 そして、もしイギリスがこれを受け付けない場合には、国際裁判所に提訴するとも語っている。そして、そのために、いまパレスチナの各団体が、歴史書類を集め始めているということだ。

 この動きから考えられることは、単純にイギリスに対して、パレスチナが責任を追及するというものであり、その結果、イギリスが何らかの補償をしてくれ、パレスチナ側に有利な動きをしてくれたらいい、ということを期待してであろうか。

 あるいは、パレスチナ・イスラエル(ユダヤ人)問題の根本的責任は、イスラエル(ユダヤ人)にあるのではなく、イギリスにあるとし、その結果として、イスラエルとパレスチナの共生への道を開いていくという、これまでには無かった全く新しい、動きに出たのであろうか。

 今回の動きは、パレスチナのマハムード・アッバース議長がコントロールしている、ヨルダン川西岸のラマッラ市にある、ラーミー・ムシャーラカ氏が率いる「わが祖国青年開発機構」によって始められている。

そのことは、同機構とマハムード・アッバース議長との関係が、強いということであろう。同機構は世界に散らばる、パレスチナ人たちに資料の収集を、呼びかけ始めている。