最近のエジプト犯罪事情

2008年6月25日

 最近になって、エジプトでは凶悪犯罪が増えているということだ。友人の警察官が話したところによれば、犯人は警察が駆けつけても、犯行を止めようとしないというのだ。以前は警察官が現場に駆けつけると、犯人は逃げるか、あるいはおとなしく逮捕されるのが、当たり前だったということだ。

 では今はどうなのかと聞いたところ、犯人が銃を持っていれば、警察官が銃を向けると、即座に発砲してくるということだ。つまり、破れかぶれな犯行を行うケースが、増えているということだ。

 それでは何故そうなったのかというと、現実の生活が非常に苦しくなり、罪を犯す者たちは、つかまれば刑務所の中でパンが食える。運悪く警察官に撃たれて死んでも、運がよければ来世に天国に行けるかも知れない、と考えるのだそうだ。

 犯罪者がどうして天国にいけるかもしれない、という期待を抱けるのかということについては、政府がひどい政策をするから、国民がこんなに苦しんでいるのだ。罪を犯す原因は政府にあり庶民にはない、つまり犯罪が起こる原因は政府が作っている、犯罪者は無罪だということになるらしい。

 エジプトの庶民はいま、過去に例を見なかったような、苦しみの中で生活している。サダト大統領の時代には、パンの値段が少し上がっただけ、暴動が起こったが、今では暴動を指揮する人間がいないのだ。

 苦しみがこのまま続けば、やがては大暴発するというのが、エジプトの現状だろう。だからといって、日本が何の工夫も無しに援助しても、その援助は一定の階層にしかたどり着かず、庶民の生活には何のプラスにもならないのだ。