ハメネイ師も大統領に負けないブッシュ非難

2008年6月 5日

 イランのアハマド・ネジャド大統領の、アメリカやイスラエルに対する非難の言葉は、言われている当事者であるブッシュ大統領やイスラエルにとっては、激怒ということであろうが、許容範囲をはるかに超えていて、第三者である我々にはもうあきれるというか、コミック並みのおかしさを含んできている。

 彼のキャラクターと、彼のそうしたアメリカやイスラエルに向けられる悪口が、イラン国民の不満を一掃してくれる、特効薬のような効果があるのであろうか。イラン国内からは言い過ぎだ、という批判の声は聞こえてこない。

 彼だけならまだ限度を超えた場合、大統領を辞めさせればすむのだが、イランのシーア派最高権威者であるアヤトラ・ハメネイ師までもが、最近になって強烈な言葉を、ブッシュ大統領と彼の側近たちに向けている。

 ハメネイ師はホメイニ師の記念日で講演し「ブッシュ大統領と彼のアドバイザーたちは、精神病にかかっているような行動をしている。ブッシュ大統領と彼のチーム・メンバーを見ていると、彼らの言葉は精神病患者のようだ。」と語っているのだ。

 加えて、ハメネイ師は「彼らはあるときは侵攻し、あるときは暗殺し、あるときは助けを求めている。それはまるで気の狂った人のように、ふらついた行動だ。ブッシュ大統領がこうも異常な行動をとるのは、彼がアフガニスタンで失敗し、イラクででも失敗した結果であろう。彼は各国にアメリカのいじめに抵抗するよう呼びかけている。」

 イランはいま、アメリカの軍事侵攻の可能性を、真剣に受け止めているのであろうが、これではケンカとしか言いようがなかろう。ライス国務長官もこれに負けじとばかりに、イラン非難の言葉を繰り返している。

彼女はヨーロッパ諸国に対して、イランに対する締め付けを強化するよう呼びかけ、イランとの対話には意味がないと繰り返しているのだ。

 言葉の戦争のときはいいのだが、これが実弾が飛び交いミサイルが飛び交う戦争に発展したのでは、周囲は大迷惑ということであろう。既にイランは、アメリカに対する報復に、カタールの米軍基地に対し、第一撃を加えるだろうと予測されている。