もう大分前に書いたと思うのだが、どうやらイランのイスラム最高指導者のハメネイ師は、アハマド・ネジャド大統領の後継に、これまで核交渉を担当してきた、アリー・ラリジャニ氏を推すようだ。
アリー・ラリジャニ氏が、次の大統領になるのではないか、と思われる根拠は、彼がイランの国会議長に、就任することが決まったからだ。このポストはイラン国内では、大きな権限を持つようだ。しかも、彼は西側諸国から、穏健で国際常識のある、インテリと受け止められている人物だ。
アハマド・ネジャド大統領の大衆向け政治は、多分にアジテーションが効き過ぎ、西側諸国との間に、必要以上の緊張を生み出し、場合によっては、核問題を理由に、アメリカから軍事攻撃を受ける、危険性さえ高まっている。
加えて、アハマド・ネジャド大統領の国内経済政策は失敗している。それをアハマド・ネジャド大統領は石油価格の高騰で、何とかごまかしている状態のようだ。この経済政策の失敗については、イランの閣僚の間からも、経済専門家の間からも非難が出て来ている。
イランの核開発が、後退できないところまで進展したのを機に、ハメネイ師はアハマド・ネジャド大統領の役割を、終えさせようと考えたのであろう。ハメネイ師はアリー・ラリジャニ氏が国会議長に就任したのを機に「政府は議会が成立させた法律を忠実に守らなければならない。」と語っている。
つまり、アリー・ラリジャニ氏が国会で決めたことには従え、という意味であり、これはアリー・ラリジャニ氏を支援する意思を、アハマド・ネジャド大統領に伝えると共に、その方針を国民の前に明らかにしたものであろう。
既に西側マスコミでは、アリー・ラリジャニ氏が国会議長に選ばれたことは、イラン政府の内外政策における、大変革だと受け止めている。来年の6月には、イランの大統領選挙が行われるが、それまでアメリカはイランの政策変更を、待てるのだろうか。