トルコ与党AKPと最高裁判所の闘い

2008年6月25日

トルコの与党AKP(開発公正党)と最高裁判所との間で、スカーフ着用をキッカケに、激しい闘いが続いている。

最高裁判所側は与党AKPが決定した、スカーフの公共の場での着用許可に対し、憲法違反であるとし、与党AKPと党の幹部40人以上の、政治活動を禁止する判断を下す方向で動いている。

これに対しAKP側は、いたって平静を保っているようだ。党首のエルドアン首相も全く問題視していない様子だ。それはAKPが国民の多くから、支持されているためであろう。

確かに、AKPが政権をとってからの67年で、トルコの経済は大幅に改善された。その最大の理由は、汚職が減ったからであろうし、トルコ国内の資金が、トルコ国内に投資されるようになったからであろう。

海外からのトルコへの投資も、増加傾向にある。今回のAKPと最高裁判所との争いで、外国からの資金が、逃げ出すのではないかと懸念されていたが、それほどでもないようだ。トルコの株式市場も、それほどのダメージを受けていない。

そうした状況は、AKPにとって有利であろう。AKPにさえ付いていけば、将来は明るくなる、という見通しを持つ国民が増えるからだ。したがって、AKPは国民の支持を増やすことはあっても、減らすことはない。

国民が支持するAKPに対し、最高裁判所が憲法違反だとして、解党を命ずる方向にあえるということは、憲法が国民よりも優先されるということであり、おかしな話だということは誰にも分かろう。

AKPが今後どう憲法裁判所に対応していくのかについては、幾つものシナリオがうわさされている。それらは次のようなものだ。

1:将来どうなるか誰にも分からない、予測不可能。

2:AKPは解散し新党を結成する。

3:AKPを解散させ、AKPの候補者は個人候補として立候補し、当選後に新党を結成する。

    

最近では、AKPの若手議員の間から、エルドアン首相の口からも、憲法裁判所の決定を無視する、という発言が飛び出している。案外この選択が可能性も高く、一番正しいのかもしれない。