イスラエルの政界では、スキャンダルの無い政治家がいないと言われるほど、スキャンダルが蔓延している。ある政治家は女性問題のスキャンダルで血祭りに挙げられ、ある政治家は金銭がらみのスキャンダルで問題になっている。
いま、イスラエルの首相を務めているオルメルト首相も、やはりイスラエル政治家の例外ではなく、金銭がらみのスキャンダルで、世間をにぎわしている。報道によれば、封筒に入った現金を受け取ったとか、彼の銀行口座に大金を振り込ませたとか、いろいろの情報が飛び交っている。
オルメルト首相はそうしたスキャンダルをものともせずに、シリアとの和平工作を進めようとしているが、どうも軸足はふらついているのではないだろうか。ゴラン高原の全面返還について、トルコ側がイスラエルから聞いてシリアに伝えた内容と、食い違うものがあるようだ。
そのオルメルト首相が、早晩辞任せざるを得ないだろうという判断からか、イスラエル国内では、ポスト・オルメルトの人選が始まっているようだ。いまの段階で話題に上っているのは、リブニ外相と副首相のハイム・ラモン氏だ。
リブニ外相は同時に副首相職にもあることから、次期首相になるのではないかという噂が流れている。彼女は将来の首相候補として、すでに2年ほど前から事情通の間で、話題になっていた人物であり、彼女を裏から支えているのは、ペレス大統領のようだ。
しかし、オルメルト首相はリブニ外相ではなく、ハイム・ラモン氏を後継者に推したいと考えているようだ。それは、カデマ党の党首選挙をめぐる配慮からのようだ。リブニ外相はいまの段階で、党首選挙に立候補する予定になっているからであろう。しかしハイム・ラモン氏は党首選挙に、立候補する予定に無いとのことだ。
元首相のバラク氏とハイム・ラモン氏との関係、ネタニヤフ元首相とリブニ外相との関係などが、複雑に絡み合っていることから、オルメルト首相の後継が決まるには、もう少し時間がかかるのかもしれない。