イラクでは何でも起こりうるようだ。アメリカ兵の蛮行や虐待は、これまで枚挙に暇がないが、それがアメリカ兵の危険を、増長しているということを、どれだけアメリカ兵たちは、分かっているのだろうか。
今回は、バグダッドの近郊で、アメリカ兵がイスラム教の聖典コーランを標的に、射撃の訓練をしていたことが問題になった。銃弾で穴の開いたコーランが、イラク人によって発見されたことから問題となり、数百人を超えるスンニー派のイスラム教徒が、抗議にバグダッドの米軍基地に向かった。
米軍の責任者ジェフリー・ハモンド司令官が、丁重にお詫びをし、一応は収まったようだ。スンニー派の幹部の一人サイード・アルズバイエは、アメリカ側が丁重にお詫びをしたことで、住民の怒りが静まったと述べている。
しかし、ことはそう簡単には行くまい。これまでのアメリカ軍の、蛮行の積み重ねがあり、その上に聖典コーランを標的にしたということになれば、反米派にとって、最も有効な反アメリカ行動の口実になり、しかも、広範囲にわたって反米行動を呼びかけられる口実になろう。
通常、イスラム教徒はコーランを手にする場合、ウズー(簡単な沐浴で、手、腕、顔、頭、耳、足を洗う行為)をする慣わしになっているほどだ。そのコーランを銃弾の標的にするという好意はアルカーイダやイスラム原理主義者からすれば、激怒するに値する行為なのだ。
少し時間が経過した時点で、このばかげた行為に対する懲罰が、下ることになろう。何人のアメリカ兵が、それで犠牲になるのか分からないが。
日本でも既に、似たような事件が起こっているが、これからは宗教的対立が日本で起こらないためにも、十分に注意する必要があろう。