自衛隊のスーダン派遣は時間の問題、という感じになってきているが、その派遣先がどれだけ危険な状態になるのかを、誰が分析しているのだろうか。ある自衛官が私のオフィスを訪問したときに聞いた範囲では、商社とNGOに情報を提供してもらっているということだった。
しかし、スーダンの内情について商社もNGOPも、正確な情報をつかんではいないのではないか?トルコを訪問した折に、トルコのNGOにスーダンの内情を聞いたところ、彼らはダルフールが危険すぎるので、スーダンの首都ハルツームをベースにして、援助活動を行っている、と語っていた。
しかし、ここに来てJEM(公平公正運動)という武装組織が、ハルツームに乗り込んできたというのだ。どうやらこのことは事実のようだ。つまり、首都のハルツームも、いまでは危険な状態になっているということだ。
エジプトが戦闘機と輸送機をハルツームに送り込み、支援体制に入ったようだが、果たしてそれがどの程度、効果を発揮できるか分からない。スーダン政府は首都ハルツームを、戒厳令下に置き、夜間の外出を禁止したようだ。
JEMはハルツーム内部にも、スーダン政府軍内部にも、味方がいると語っているようだ。JEMのリーダーの名前がハーリド・イブラーヒームであることから、ブラック・スーダン人ではなく、アラブ系スーダン人の可能性がある。
このJEMの部隊は、25台の輸送トラックに便乗して、ハルツームに乗り込んできたようだが、こうしたことは過去になかったことだという。この動きについては、ダルフールでの戦闘に嫌気が差したスーダン軍の将兵が、反政府に回ったのだという説も流れている。
そうであるとすればこれからハルツームではクーデターが起こる可能性が高いということになる。そしてそれは激しい戦闘を、伴うことになるだろう。
スーダン政府はこのJEMが、チャド政府の支援を受けている、と非難しているがそれだけだろうか。チャド政府はチャド政府で、スーダン政府がイドリス・デビィ大統領を打倒しようと工作している、と非難している。つまり、双方が、強度の不信感に、さいなまれているということだ。
スーダンでは過去5年間戦闘が継続しており、20万人が死亡し、250万人がホームレスになっているということだ。自衛隊は多分、首都ハルツームに駐屯する分には安全だ、ということになっているのだろうが、どうも状況はそうでもなさそうだ。ハルツームも危険地帯になったということだ。