トルコがイランに銀行支店開設提案

2008年5月 9日

 トルコの閣僚のなかで、いま最も活発な活動を展開しているのが、クルサド・トズメン貿易促進大臣であろう。彼は官僚、ビジネスマンを同行させて、イランを訪問した。

 そのなかで、彼がイラン側に提案したのは、トルコ銀行の支店を、イラン国内に開設する、という考えだった。述べるまでも無く、アメリカがいまイランに対し、第三弾の経済制裁を強化しているなかで、トルコのトズメン大臣が銀行の支店開設を提案するというのは、実に大胆な話であろう。

 このトズメン大臣の提案を、イラン側は前向きに受け止めている。トズメン大臣がこの銀行支店の開設を提案したのは、両国の貿易額を増加させる上で必要だとし、この取引では両国の通貨が使われるようにする、そうなると、どうしてもトルコ銀行の支店開設が、必要になってくるというものだ。

 トズメン大臣はまた、トルコの地中海に面したメルシン市で、521日に開催される経済協力機構の会議に、イランの代表の参加を呼びかけている。このメルシン市は、ウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタン、イランを結ぶ鉄道の、終着駅になる予定になっているとしだ。

 述べるまでも無く、トルコとイランとの関係は、エネルギー面での協力が中心だが、これだけ思い切った提案を、トルコの大臣がイランに対して行うということは、トルコ政府が自身に役割の大きさを、評価してのものであろう。

 欧米がトルクメニスタンのガスやカザフスタンの石油を、イラン経由でトルコまで運びたい、と考えていることも、トルコに自信を持たせ、強気にしている原因であろう。

 もちろん、アメリカがトルコ政府のこの動きに対し、反対しないという読みの上でのことであろう。最近では、それだけ中東地域におけるトルコの役割が、増大してきているということだ。同時に、アメリカはトルコの役割に、大きく期待せざるを得なくなってきている、ということでもあろう。