最近、東京財団でロシア研究をしている研究者と話していると、彼はロシアがものすごい勢いで、世界に影響を及ぼすようになった、ということを強調する。アメリカに対しても、ロシアは強い影響を持つようになったというのだ。
ロシア研究者が、ロシアびいきになるのは結構だが、実態はどうなのかと、斜めから彼の話を聞いているのだが、どうも彼の主張は間違っていないようだ。ここに来て、ロシアのプーチン首相は外交や軍事だけではなく、商才も発揮し始めている。
プーチン首相はリビアを訪問し、カダフィ大佐と会談し、石油の協力と兵器の売りつけに成功している、その兵器の販売代金は25億ドルというのだから、結構なビジネスであろう。
そればかりか、シリアに対しても地対空ミサイルを中心に、新兵器を売却する契約に成功している。シリアにしてみれば、決して台所事情がいい訳ではないのだが、イスラエルとの緊張が高まるなかでは、無理してでも新兵器を、買わなければならないのであろう。
ロシアのプーチン首相が、普通の人間ではなく、ずば抜けた能力を持った人間であるという判断は、私もしていた。彼はまさに世界情勢が激動するなかで、困難な舵取りをし、ロシアを再度世界の大国のひとつに、復帰させることに成功している。
彼は高度な才能を持つ人物であると同時に、英雄的、独裁的性格も兼ね備えているのではないか。だからこそ、プーチンは独断専行型の政治を行っても、ロシア国民から支持されているのであろう。
いま世界にはもう一人似通った人物がいる。それは、トルコのエルドアン首相だ。この二人の人物が、今後の世界政治に、どのような影響を及ぼしていくのか、注視する必要がある。