イラン・サウジ・トルコが治安協力合意へ

2008年4月17日

数日前に、アラブのアッサフィール紙が伝えたニュースだが、どうも素直には受け入れがたい内容なので、これまで放置していたが、やはり事実であるとすれば、非常に重要なニュースだと思うので、ご紹介することにした。

アッサフィ-ル紙によれば、イランの革命防衛隊の情報として、イランとトルコ、それにサウジアラビアが、治安協力で合意することが、確実となったというのだ。

具体的には、サウジアラビアの代表団が5月にイランを訪問して、この治安協力に合意するということだ。加えて、イランがトルコに代表団を送り、同様の合意を交わす予定になっているということだ。

つまり、イランとトルコ、サウジアラビアの三国が、治安面で協力していくことが、これら三国の間でほぼ合意されているということだ。そして、イランの革命防衛隊は、ペルシャ湾の治安を守れるし、守るつもりだとしている。

 加えて、アハマドネジャド大統領の発言として、イランは同国が開発した核技術を、地域の国々との間で、共有する意思があると語ったことを、紹介している。

 これは単なる、イランの革命防衛隊が、でまかせを言っているものとは思えない。イラン、トルコ、サウジアラビア三国の間では、それぞれの思惑から、この合意が必要になっているということであろう。

 しかし、それは同時に、アメリカにとっては、決して心地よいものではあるまい。イランを敵視し、追い込むことによって、イランから核問題をめぐる、妥協を引き出そうとしているアメリカにとって、アメリカと親密な関係にあるサウジアラビアや、NATO加盟国であるトルコが、イランとの関係を強化することは、きわめて不都合なことと思われる。

 それでは、イランはこの合意によって、何を引き出そうとしているのか、ということを考えてみると、アメリカがイランに対して、軍事攻撃を行う際に、サウジアラビアとトルコが、これに反対した場合、アメリカはイランを攻撃するのが、非常に難しくなることが考えられる。

 サウジアラビアの場合には、アメリカがイランを攻撃することになれば、ペルシャ湾に面する石油地帯と都市は、全てイランのミサイルの射程距離内であることから、攻撃にさらされる危険があろう。そのことは、サウジアラビアにとって最大の不安であり、攻撃が行われれば致命的な打撃となろう。

サウジアラビアが、そのような最悪の状態を回避するには、イランとの間に、独自の良好な関係を構築し、戦争に反対し、かつ、イランからの敵対行動を受けずにすむ、状態を創る必要があろう。

トルコの場合には、イランを押さえ込むことが出来れば、地域における発言権は強まろうし、もし、こうした外交活動で、アメリカのイラン攻撃を阻止することが出来れば、サウジアラビアを始めとする湾岸各国との間に、強い信頼関係を構築することが出来よう。

問題は、このイラン・トルコ・サウジアラビアの治安面での協力という、接近の動きに対し、アメリカがどう出てくるかということだ。当然のこととして想像できるのは、この合意をつぶす工作を、アメリカがサウジアラビアあるいはトルコに対して、断行するということであろう。

つまり、イランがやったように見える、テロを行う可能性があるということだ。しかし、もしアメリカがイランの犯行のように見せかけて、テロを起こしたとしても、サウジアラビアやトルコは、瞬時にしてそれを見抜くと思われる。したがって、そのようなテロはアメリカにとって逆効果であろう。