アメリカのメリーランド大学にある、ゾグビー・インターナショナルの調査によれば、いまアラブで、最も人気のある人物は、レバノンのヘズブラ・リーダーのハサン・ナスラッラー師だということだ。
一昨日訪ねてきたウズベキスタンの友人も、エジプトのカイロに行ったときに、ナスラッラーの名前を口にした途端に、土産屋の親父が大幅な値引きをしてくれたと話していた。
ナスラッラーに続く人気は、シリアのバッシャール・アサド大統領であり、その次が、イランのアハマド・ネジャド大統領、という結果が出たそうだ。そのいずれもが、アメリカに対して敵意を、むき出しにしている人たちであることに注目したい。
他方、アメリカに対する信頼感は大幅に低下し、信頼出来無いと回答した人が、80パーセントを超えたということだ。そして、最もアラブで嫌われている人物は、アメリカのブッシュ大統領ということだ。
この調査はメリーランド大学の、シブリー・テルハーミ教授が中心になり、エジプト、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、モロッコ、ヨルダン、レバノンの、4000人の人たちを対象にして行った結果だ。
もう少し詳しく説明すると、1・6パーセントの無効があり、83パーセントのアラブ人がアメリカについて不快感を示し、70パーセントの人たちが明確に、アメリカに対して「ノー」という反応を示したということだ。
イラクの将来については、もしアメリカ軍が撤退したら、イラク人だけで何とか立ち直っていける、と答えたのが61パーセントに達したということだ。ちなみに昨年同じ質問に対し、44パーセントの人たちが、イラク人の自力更生を予測していた。
またアメリカ軍のイラク侵攻結果については、10人のうち8人のアラブ人が、サダム時代よりも悪化したと答えている。そして、イラクの不安定な状況は今後も継続し、それが周辺諸国にも影響を及ぼしていく、と考えているアラブ人が、昨年の42パーセントよりも17パーセント多い、59パーセントに達している。
つまり、アラブ世界では、アメリカに対する信頼感が、大幅に低下しているということだ。しかも、ここに出てきた数値は、先に記しているように、どちらかといえば親米派の国々での調査結果である。それだけアラブの大衆の間では、現状とアメリカに屈辱的に追従する自国政府に対し、不満が募っているということであろう。