穏健化したのか?イランの事件への反応

2008年4月14日

 最近になって、イランの立場が、なんとなく穏健化している、印象を受けていたが、イランでつい先日起こった二つの出来事についても、イランの反応には、その傾向があるように思えてならない。

 第一の出来事は、ペルシャ湾で起こった、アメリカの艦艇への、イランのスピード・ボートの接近、という情報だった。このボートについては、イラン側からは出来事そのものが否定され、そのようなことはなかったと報じられた。

 アメリカ側は、これがイランのボートであるという印象を、強める報道がなされたが、そのうち立ち消えになっている。つまり、イランはアメリカとの間に、挑発行為を行ってはいない、ということを世界に伝えたい、ということであろう。したがって、アメリカ側の報道に対しても、特別に非難めいた反応は行っていない。

 第二の出来事は、イラン南部の都市シラーズで起こった、モスク爆発事件だった。この出来事でも、イランの警察筋からは、未処理だった爆弾が爆発したのではないか。あるいは、イラン・イラク戦争の陳列館にあった不発弾が、爆発したのではないか、というコメントが出ている。

 通常であれば、外国の破壊工作の可能性を、最初に言いたいところであろうが、イランはだいぶ押さえた、冷静な反応を示しているのだ。

 いったい、これは何を意味しているのか、ということを考えてみると、イランはアメリカとの間の、緊張を出来るだけ高めたくない、と希望しているということではないのか。そうであるならば、スピード・ボートの件も、シラーズのモスク爆発事件も、ことさらに問題視したくない、ということになろう。

 しかし、かといって、外部からの破壊工作を控えめに報じ過ぎると、逆に外部からの破壊工作が、やりやすくなる危険性もあろう。また、そうした状況が続いた挙句に、イランが断固たる反応を示せば、世界はイランの過剰反応と、イランを非難することにつながりかねない。

 イランのいま置かれている立場は、非常に微妙だということであろうか。他方では、アメリカが再度イランに対し、敵意をむき出しにし始めた、という情報も流れている。