二つの虐殺世界は無視

2008年4月12日

 いま日本は全く平和な状態にある。そのような国に住んでいる人たちには、外国で起こっている虐殺や悲惨な状況は、実感を持って想像することはできまい。

 ここで、ご紹介したい二つの虐殺がる。ひとつは、イラクの首都バグダッドの一角にある、サドル・シテイで起こった虐殺だ。このサドル・シテイは名前が示すとおり、モクタダ・サドル師を支持する人たちが、集まって住んでいるところだ。

このサドル・シテイでは、先に起こったバスラでの武力衝突をキッカケに、イラク全土でサドル派が武力蜂起し、イラク軍と衝突したことから、イラク軍との武力衝突が起こったのだ。

イラク軍はアメリカ軍の空・陸からの支援を受け、サドル・シテイを攻撃した。結果は包囲されたサドル・シテイから、逃げ出せなかった住民も含め、相当数の犠牲者が出たものと思われる。イラク軍とアメリカ軍が、サドル・シテイに対し、空爆と砲撃と市街戦を展開して、死傷者が出ないわけがない。

結果的に、戦闘はイラク軍の勝利に終わったが、イラク政府は13人のサドル派民兵が死亡したと発表した。他方、イラク軍やアメリカ軍のなかからは、軽度の負傷者が、少数出るにとどまったということだ。

このことの意味するところは、イラク軍とアメリカ軍による完全な包囲のなかで、一方的な虐殺が行われたということだ。サドル派とサドル・シテイの住民の死傷者については、多分に過小評価されているものと思われる。

 

もうひとつの虐殺はパレスチナのガザで起こった。こちらもイスラエル軍による空爆と陸上からの攻撃によるものだった。イスラエルが発表した犠牲者数は15人ということだ。

ガザ地区は現在、イスラエルが完全に包囲した状態になることから、イラクのサドル・シテイ同様に、逃げ場の無い人たちが、虐殺されたということであろう。もちろん、殺害された人たちについて、イスラエル政府はあくまでも、抵抗するテロリストを殺害した、と発表するだろうが、、。