アメリカの元大統領のカーター氏が、ハマースのハーリド・ミシャアル氏に4月18日に会うことがほぼ決まったようだ。このニュースが流れる前にも、カーター・ミシャアル会談の情報が流れたが、カーター氏の秘書ダイアナ・コンギレオさんは、肯定も否定もしないという立場をとっていた。
ハーリド・ミシャアル氏は、現在シリアのダマスカスに亡命している、パレスチナ抵抗組織ハマースのリーダーだが、彼にカーター氏が会うということは、画期的なことであろう。
述べるまでもなく、イスラエル政府はこの会談を快く思っていない。これまでイスラエルは、ハマースをあくまでもテロ組織として、交渉の相手にはしない、という立場を貫いてきたし、世界の国々に対しても、その立場を支持するよう、働きかけても来た。
たとえ元大統領といえども、アメリカのカーター氏がハマースのトップと会談するということは、当然の帰結として、何らかの変化をイスラエル・ハマース関係、あるいはイスラエル・パレスチナ関係に及ぼそう。
一番簡単に予測されるのは、このカーター氏の動きを受けて、ヨーロッパの国々のなかからも、ハマースとの外交チャネルを開こうとする国が、出てくるであろうということだ。
同時に、パレスチナの現実をよく分かっている、アラブの親米諸国のなかにも、ハマースに対する対応の上で、変化が生まれよう。ファタハあるいはパレスチナ自治政府を率いるマハムード・アッバース議長の影は、当然のことながら薄れることになろうが、それは、パレスチナ内部の現実を内外に知らしめ、正しい方向に舵取りさせることにつながるのではないか。
マハムード・アッバース議長の支持が大幅に低下し、選挙を実施すれば敗北する、という予測さえ出ているなかでは、戦闘力と戦闘意思を持つ、大衆に支持されるハマースとの交渉が、どうしても必要になろう。
カーター氏は今回のダマスカス訪問と、ハマースとの会談について、あくまでも、スタデイの訪問だと語っているが、この決断をしたこと自体、相当の意気込みをもっていることが分かろう。それは、アメリカ政府がいまだに、ハマースをテロリスト集団とみなし、交渉相手としない立場を変えていないからだ。
イスラエルが今後、どうカーター氏に対応するのか注目する必要があろう。