4月3日の午前1時前後に、中国がイランの核開発に関する情報を明かした、というニュースが、イスラエルのエルサレムポストから流された。
そして、同じニュースがその後、CNNやアラブのアルハヤート紙にも掲載された。一体なぜ、中国がこの時期に、イランの核兵器開発に関する情報を、明かしたのであろうか。
4月3日のアルハヤート紙は、その疑問に対する答えと思われる記事を、掲載している。それは、中国政府が新疆ウイグル地区の、イスラーム教徒の動きに、非常に敏感になっている、というものだった。もちろん、記事では中国の西部地域、としか記されていない。
それでは何故、そのこととイランの核兵器開発に関する情報開示とが、繋がるのだろうか。
ここから先は、ほとんど推測に過ぎないので、そのようなことも考えられるのかなあ、といった程度に受け止めていただきたい。
中国はチベットで起こった抵抗運動について、大きな不安を抱いたものと思われる。しかも、オリンピックを間近に控えているだけに、中国にとってはチベットで起こった抵抗運動は、国際的な非難を浴びることにもなろう。
現実に、多くの西側諸国が、要人のオリンピックへの参加を、見合わせると言い始めている。しかも、チベットで起こったことに呼応するように、四川省や甘粛省でも、デモが行われたと伝えられている。
少し前になるが、新彊地区での暴徒を抑え込むために、中国の軍は13人を殺害したと伝えていた。つまり、中国政府に対する抵抗運動は、現在中国国内の、各地で起こり始めているということであろう。
それは、各地の少数民族が、自発的に起こしているとも考えられるが、同時に外国の関与も考えられよう。そこで、中国はイランの核兵器開発に関する、情報を開示することによって、味方を増やそうと考えたのではないか、と思われる。
しかし、その場合に、中国が握っているという、イランの核兵器に関する情報が本物であるとした場合、何故それを中国が知ることができたのか、という疑問が沸いてこよう。
もし、その情報が本物であるとした場合、これまで中国が、イランに対して核兵器の開発に協力していたことを、意味することにはならないか。
現段階では、イランが核兵器を開発している、とは考えにくいのではないか。もちろん、世界の各国は、インドとパキスタンの前例に見るように、周辺諸国などとの関係から、核兵器の開発を検討するようになる場合があることは、否定できないだろうから、イランは全く核兵器を開発する意思がない、とまでは言い切れまい。
中国がイランについて、兵器を開発している、と言い出したのは、よほど中国が現状に危機感を抱いているということの、裏返しではないか。つまり、中国内部の危険な動きを、中国政府は大きな不安を抱いて受け止めており、早急に解決したいという焦りから、今回、大きな間違いを犯し始めているのではないか。
もし、中国の提供する情報によって、アメリカ国内で、イランに対する攻撃を支持する声が高まり、アメリカがイラン攻撃を実施するようなことになれば、イランがペルシャ湾の出口である、ホルムズ海峡を封鎖するであろう。
そうなれば、中国には石油が送られなくなってしまうことが予測される。もし、そのような事態になれば、中国の経済は大きなダメージを受けることになであろう、ということは誰にも想像がつこう。