過去半年の間に、アラブ首長国連邦では、大きな事故が、目立って起こっている。しかも、それはアラブ首長国連邦のなかの、ドバイに限られて起こっているのだ。
最初は、高層ビルの工事現場で火災が発生した。次いで、200台もの車がドバイの渋滞する幹線道路で、燃え上がり大惨事となっている。そして、つい最近起こった大惨事は、ドバイの産業地区で発生した、大爆発事故だった。
こうも大惨事が連続して起こると、なにか裏にあるのではないか。これらの事故には関連性があるのではないか、と疑ってみたくなるのが人情であろう。そう思ったのは私も同じだった。
そこで浮上してくるのは、アラブ首長国連邦、なかでもドバイとアメリカとの関係が、いまどうなっているのかという疑問だ。もちろん、もし何かがあったとしても、だからアメリカがこれらの一連の大惨事の裏にいる、と言うつもりはない。
問題は、アメリカがアラブ首長国連邦に不満を抱き、イギリスも最近になって、対応を変えてきている兆しがあるということだ。そうした社会状況のなかで、アラブ首長国連邦に出稼ぎに来ている外国人の間に、給料を始め住宅などといった、雇用条件に対する不満が高まっていることが、社会不安を生み出しやすい状況を、この国のなかに創り出しているといえよう。
外国からの出稼ぎ者による仕事上の手抜きや、サボタージュが起こりやすいだろう。結果的に、そうした行動は、大惨事に結びつくことになるのだ。
アメリカやイギリスは、こうした社会不安の一因に、イランの存在があるとしているが、アラブ首長国連邦のイランとの貿易額から考えて、アラブ首長国連邦がイランとの貿易を停止することも、輸出品目の制限や、検査を厳しくすることも、簡単には出来まい。
同様に、アメリカやイギリスも、アラブ首長国連邦との貿易額を考えた場合、アラブ首長国連邦に対し、輸出品目を限定したり、輸出品を監視することも、イランとの取引についてクレームをつけることも、容易ではないということだ。
結果的に、アラブ首長国連邦とアメリカやイギリスとの関係には、不信と不満がつのっていくことになろう。今後その解消に、アメリカやイギリスがどのような手段を採るのか、それは、アメリカとイランとの関係で、清算されるのではないかと思えてならない。