これはエイプリル・フールの原稿ではない。シリアのムアッレム外相は、「アメリカが何時シリアを攻撃してきても、対抗できる準備が整っている。」と語った。
現実に、それだけの緊張が、シリアとアメリカとの間に、現在あるとは思えないのだが、当事者の受け止め方は、われわれ外野の人間とは、異なるのかもしれない。
ムアッレム外相は「攻撃することを知っていても、撤退のしかたを知らない国が相手のときは、こちらも対応をよく考える必要がある。」と暗にアメリカのイラク対応の失敗を揶揄している。
彼はまた、「アメリカが中東地域で、これ以上の破壊を行わないことを希望する。」とも語っている。
シリアがもし、アメリカとの軍事緊張から、軍事行動に発展するとすれば、イスラエルとの間の緊張が、唯一の原因であろう。シリアはこうした事態を、なんとしても避けたいと考えている。
同様に、イスラエルの理性派は、シリアとの軍事衝突を希望していないようだ。一説によると、オルメルト首相はこれまで、20回以上もシリアに対し、和平の呼びかけの書簡を、送っていたということだ。
これまで、シリアとイスラエルとの間では、トルコを仲介として、秘密の接触が持たれていたが、シリア側もイスラエルがこのことを公表したことにより、その事実を認めている。
イスラエル政府内部や、議会内部には強硬派が存在することから、最近のシリアとイスラエルとの動きは、イスラエルの強硬派を抑えることが、当面の目的になっているのかもしれない。