エジプトがガザに電力供給へ

2008年3月 1日

 以前、ガザとエジプトの国境にある壁が破壊されたとき、ガザはイスラエルから切り離され、エジプトに依存するようになる、という予測を書いたが、その予測が現実のものとなりつつあるようだ。  More... イスラエルのエルサレムポストの報じるところによれば以下のような計画が始まっているということだ。

 エジプトのシナイ電力局が、ガザに対する電力供給量を、大幅に増加する検討に入った。これまでも、エジプト政府はガザ地区に対し、少量の電力を供給していたが、それを本格的に供給量を増やす方向に動き出しているようだ。  ガザの電力消費量は240メガワットだが、エジプト政府は250メガワットを供給することを検討し始めているということだ。

ガザへの電力供給は、これまでイスラエルから10ライン、ガザ独自の発電所からのものが5ライン、エジプトからのものが2ラインあった。  当然のことながら、電力供給量を増加するためには、種々の新施設が必要になることもあり、その検討もしなければならない。また、費用については、サウジアラビア政府が、提供する方向にあるようだ。

 工事が着工されれば6ヶ月ぐらいで実現するということだ。しかし、エジプト政府の電力省高官は、具体的に何時ごろから、本格的なエジプトからの、電力供給が始まるのかについては言及していない。  イスラエル側はガザ地区に対し今後出来るだけ関りたくないということであろう。者論旨が首相時代にガザの全面返還を決定したのはガザを切り離すことによってパレスチナ問題の半分を解決できると考えたからであろう。

 当然のことながら、電力に合わせて、水の供給もイスラエルが止め、エジプトが供給するようになるものと予測される。 また消費物資や医薬品なども同様に、将来的にはエジプトが供給することになり、最終的には、ガザが完全にイスラエルに対する依存から解放され、エジプトに依存する形になるのであろう。

このことはイスラエルにとって好都合でありガザの住民にとっても好都合なことであろう。ただしエジプトはそのことによって得るメリットもあろうが面倒な問題を内部に抱え込むことにもなることが予想される。 メリットとしては、アラブ諸国のガザに対する援助が、エジプトを経由するようになるということであり、デメリットはパレスチナ人の政治に対する自由な考え方が、エジプト国内にも及び、エジプト国民の間に、民主化要求の動きが強まるということだ。